早わかりバブル


(目次)
1. バブルとは何か?
2. 本来あるべき価値(=適正価格)とは何か?
3. 株価の適正価格
4. 地価の適正価格
5.資産価格変動の経済への影響



■■ 1. バブルとは何か? ■■


今回より、「資産価格(株価、地価)の決定とバブル」について解説していきます。まず、「バブル」とか「バブル崩壊」という言葉は、良く使われますが、どのような意味なのでしょうか。

バブル」とは、「本来あるべき価値」よりも値上がりした部分です。これは、皆さんのイメージと同じだと思います。問題は、「本来あるべき価値」とは何か、ということです。

そこで、この連載では、以下のように、バブルというものを理論的に説明していきたいと思います。バブルか否かを解明するポイントは、実体に裏付けられた「適正価格」とは何かをしっかりと把握することです。


★ポイント★
1. バブルとは本来あるべき価値(=適正価格)を超えた値上がり部分をいう。
2. したがって、バブルの分析では、適正価格とは何かを把握することが重要となる。



■■ 2 本来あるべき価値(=適正価格)とは何か? ■■

前回、「バブル」とは、「本来あるべき価値」よりも値上がりした部分であるとお話ししました。今回は、では、「本来あるべき価値」とは何かということを考えます。

資産として、不動産を例に考えて見ましょう。不動産の「本来あるべき価値」とは、その不動産を持っていれば将来手に入る利益のことをいいます。つまり、将来その不動産から1億円分の利益を得るのであれば、不動産の価値は1億円であるということです。

これは、1億円の不動産は1億円を稼ぎ出してくれるからこそ、1億円の価値があるということで、考えてみれば当然のことです。ですから、「本来あるべき価値」あるいは「適正価格」といいます。

しかし、不動産の価格は、常に「適正価格」というわけではありません。特に「バブル」のときには、価格は「適正価格」を上回ってしまいます。しかし、なぜ、適正価格が1億円、すなわち、1億円の利益しか生まない不動産が2億円、3億円のように高い価格で取引されたのでしょうか。

これは、投機行動によって説明することが出来ます。投機とは、価格差を利用して利益を得ようとする取引です。ですから、投機で不動産を買う人は、その不動産を持ちつづけて、その不動産から利益を得るのではなく、不動産を安く買って高く売ることによって儲けようとします。したがって、投機を行う人にとっては、将来の不動産の予想価格が現在の価格を上回っていれば、儲かるので買うことになります。先ほどの例では、適正価格が1億円の不動産の価格が2億円であっても、将来3億円に値上がりすると思えば、今2億円で買って将来3億円で売れば1億円儲かるので不動産を買おうということになります。

ですから、バブル期には、不動産の価格がどんどん上がり、適正価格をはるかに上回りましたが、多くの人が、更に価格は上がると予想したので、不動産を購入し、実際に不動産価格が上昇するという、「価格上昇->更なる値上がり期待-->購入->価格上昇--->更なる値上がり期待--->購入->価格上昇---」という循環で、不動産価格がどんどん適正価格を離れて上昇しました。

値上がりが、単なる値上がりで終わるのか、どんどん値上がりしバブルになるのかは、人々の将来の価格への予測(期待)によって決まります。ですから、人々の心理的要因が大きいのですが、この点に関しては、余り解明されていません。

しかし、このバブルによる価格上昇は、人々の値上がり期待に支えられたもので、適正価格の裏付けがありませんので、長続きはしません。価格は永遠に上がりつづけることはありませんので、どこかで、値上がりがストップします。そうすると、投機で不動産を買う人がいなくなり、不動産を使用することによって利益を得る人が買える価格、すなわち、適正価格まで下がりつづけることになります。これが、「バブルの崩壊」です。

ですから、「バブルの崩壊」は、根拠のない値崩れというよりは、異常な値上がり
から「適正価格」への調整であると考えた方が良いでしょう。

★ポイント★

1.資産の「本来あるべき価値(=適正価格)」とは、その資産を持っていれ
ば将来手に入る利益のことをいう。

2.適正価格を超えて価格が上昇する「バブル」は、投機的目的で資産を買う人々
がいるので起こる。

3.しかし、このバブルによる価格上昇は、人々の値上がり期待に支えられたの
もで、適正価格の裏付けがないの、長続きはしない。

4.「バブルの崩壊」は、異常な値上がりから「適正価格」への調整である。

★キーワード★
バブル
資産価格が「本来あるべき価値」よりも値上がりした部分。「本来あるべき価値」とは、その資産を持っていることにより得られる利益を言いいます。適正価格を超えて価格が上昇する「バブル」は、投機的目的で資産を買う人々がいるので起こりますが、このバブルによる価格上昇は、人々の値上がり期待に支えられたのもで、適正価格の裏付けがないの、長続きはしません。

バブルの崩壊
異常な値上がり(バブル)から「適正価格」への調整。

資産の適正価格
その資産を持っていることにより得られる利益の合計。これが、資産の理論価格となります。



■■3  株の適正価格とは?■■

前回、「本来あるべき価値」とは何かということを一般論で考えましたが、今回は、株価に焦点を当てて考えます。

株とは企業の所有権です。ですから、企業にとって重要な事項は企業の所有者である株主の集まった株主総会で決定されます。株を持つということは、他の株主と共同で企業を所有するということです。ですから、企業の利益、正確には税金を払った後の利益は、株主のものです。企業はこの利益を配当という形で株主に支払うこともありますし、利益の一部は内部留保という形で企業にとどめておくこともあります。内部留保の場合、株主には渡らず、企業に蓄えられますが、これも株主のものです。

このように考えると、株を持てば、その企業の将来の利益を得る権利があるとわかります。正確には、株主はたくさんいますので、企業の利益を株数で割った、1株当たりの利益です。つまり、株の適正価格とは、1株当たりの「企業の将来の利益の合計」です。

ですから、通常、現在の利益の大きい企業は将来も利益は大きいだろうから株価が高く、反対に、利益の小さい企業の株価は低くなるのです。また、インターネット企業のように、現在は赤字続きであっても、将来、爆発的に利益が大きくなると予想されれば、株価は高くなります。

最近、「IT関連株はバブルか?」という議論がなされます。確かに、昨年までのように、IT関連というだけで資金が集まり株価が上昇するのは、実体とかけ離れており、バブルといえそうです。

結局、IT関連株がバブルかどうかは、その企業が株価に見合うだけ将来利益が上がるのか、ということと同じです。IT業界は、成功すれば、何百億円という利益を生む可能性もあります。そのような有望企業の場合、現在、赤字続きでも、高い株価がついてもバブルではありません。


★ポイント★

1. 株価の適正価格とは、1株当たりの「企業の将来の利益の合計」である。
2.株式投資とは、企業の将来を読むということである。
3.有望IT企業であれば、高い株価がバブルとは言えない。


■■4  株価の適正価格とは?■■

前回は、株価の適正価格について一般論で考えましたが、今回は、地価の適正価
格に焦点を当てて考えます。まず、地代について考えます。地代とは、土地のレンタル価格です。この地代は、土地を借りたいという需要量と、土地を貸したいという供給量との関係で決まります。

土地を持てば、その土地を貸すことによって、将来、地代を得ることが出来ます。ですから、土地の適正価格は、将来得られる地代の合計となります。

同じように、土地付きのビルを考えましょう。このビルを持って入れば、毎年、賃料が入ります。この賃料は、賃貸ビルへの需要と供給により決まり、将来得られる賃料の合計がビルの適正価格となります。

つまり、不動産の適正価格とは、「その不動産の将来の賃料の合計」です。ですから、通常、現在の賃料が高い不動産は将来も賃料が高いだろうから不動産価格が高いということになります。また、経済成長が著しく、賃料がものすごい勢いで将来上昇すると予想されるならば、不動産の適正価格がどんどん上昇することもありえるのです。

★ポイント★

1. 不動産の賃料は、不動産のレンタル市場の需要と供給により決まる。
2. 不動産の適正価格は、「将来の賃料の合計」である。
3.将来、賃料が上昇すると予想される場合には、不動産価格が大きく上昇して
もバブルとは限らない。

★キーワード★
地代
土地のレンタル料。


■■5 資産価格変動の経済への影響■■

今回は、「資産価格の決定とバブル」の最終回として、資産価格の決定そのものについてではなく、資産価格の変動が経済にどのような影響を及ぼすかについて考えます。

まず、株価の上昇を考えましょう。株価の上昇により、株で儲かる人が増えます。すると、株で儲かった人々は消費を増やし,企業は物が売れるようになるので,景気は良くなっていきます。逆に、株価が下落すれば、株で損した人々が消費を控え、景気は悪くなっていきます。

地価の変動の場合も、基本的には株価と同じですが、特に、地価の場合には、住宅需要も考える必要があります。

住宅需要は、地価が上昇すると土地が入手しにくくなり、減少する可能性があります。しかし、地価がさらにどんどん上昇しつづけると予想されると、高くても買っておけば将来儲かるということで、投機的判断も加わり住宅需要が増加する可能性もあります。つまり、地価の変動が住宅需要にどのような影響を与えるかは、一概には言えません。

しかし、いづれにせよ、住宅需要が増えた場合には住宅関連企業が儲かり、景気は良くなり、減少した場合には、景気が悪くなることになります。

バブル期に地価や株価などの資産価格が上昇すると景気が良くなり、バブルが崩壊して資産価格が下落すると景気が悪くなったのは、以上のような理由によりま
す。

★ポイント★

1.資産価格の上昇により、儲けた人々は消費を増やし景気が良くなる。
2. 地価上昇の場合には、高いから住宅を買わなくなるという以外に、地価上昇
が続くならば、将来高く売れるから無理をしても住宅を買おうという可能性もあ
り、住宅需要が増加するか減少するかは一概には言えない。